薬学生のための情報誌『MIL』ではこのたびドラッグストアの経営トップのインタビューをまとめた特別号「NEXT VISION」を発行しました。このwebサイトでも連動コンテンツをお届けします。
薬剤師とともに走り続ける情熱を持った経営者たちの言葉から、まなざしから、社会のなかでその企業が何を目指しているのか、メッセージを感じ取って欲しいと思います。
NEXT VISION
株式会社スギ薬局
代表取締役社長 杉浦克典
すぎうら・かつのり●1978年生まれ。2001年岐阜薬科大学薬学部卒業後、ジョンソン・エンド・ジョンソン入社。2006年スギ薬局入社。店長を経験した後、業務改革、システム・物流、経営企画、店舗運営(本部)などの勤務を経て2017年3月に社長に就任。親会社であるスギホールディングスの代表取締役副社長や、障害者を雇用し同社の各種業務を行っているスギスマイルの社長も兼務する。
最初から今をイメージしていたわけではない
目の前のことに一生懸命取り組めば道は拓ける
■
努力は誰かが見てくれていて
周囲の助けで今がある
1978年10月生まれ、当年42歳の杉浦克典社長。2018年12月、ヘルステックのグローバルカンファレンス「Health2.0」の壇上で約30分間、一度もメモを見ずにプレゼンテーションを流暢に進行。「スタイリッシュ」「頭脳明晰」な若手経営者というイメージを持っている関係者も少なくないのではないか。
そんな杉浦社長に、今日に至るまでの過程を聞くと、「適切な修羅場を乗り越えてきた」という返事だった。
「今の社長というポジションに向けて、段階を踏んできたということではなく、常に目の前のことに一生懸命取り組んできたことによって今があります。自分の力だけでは困難な課題にぶつかったときも、それを見てくれている方というのが必ずいて、手を差し伸べてくださいました」
大学卒業後、世界的な製薬企業に勤務。その後、スギ薬局に入社してからも店長から物流事業、商品部、店舗開発、経営企画などのさまざまな部署を経験してきた。その全ての場で全力を尽くしてきたことが窺える言葉だ。
どうやったら地域包括ケアにスギ薬局が貢献できるのか
そして今、社長として「少子高齢化」という日本が抱える課題に、「地域包括ケア」への参画を通してどのように貢献できるのかを日々考え抜いている。
「医療の領域で必要性の叫ばれる“地域包括ケアへの貢献”という言葉が、なぜ物販主体のドラッグストアから出てくるのか」と思う方もいるかもしれない。しかし、スギ薬局は調剤事業で今期1200億の規模に達する見込みで、その規模感は、いわゆる“調剤専業大手”に比しても上位にある。1000の調剤拠点を持ち、そのほとんどが面分業。今後、調剤領域では面分業が推進されるため、同社のモデルは優位であり、さらに調剤事業が成長していくことは自明の理だ。在宅調剤にも力を入れており、事業規模は50億円を超えるにまで達している。
物販・調剤・在宅と全方位の同社だからこそできる地域包括ケアへの貢献を、杉浦社長はさらに深耕しようとしている。
健康診断や移動サービスに関わる事業、店外でも顧客と接点が持てる「スギサポwalk」などのアプリ開発、管理栄養士監修の食の提供と、次々と新しい施策を実践してきた。調剤事業においても、新たなレセコンシステムや、チャット機能のあるお薬手帳アプリ「kakari」を導入するなど、デジタル活用による服薬サポートの充実にも余念がない。
冒頭で触れた「Health2.0」のプレゼンでは、地域住民一人ひとりの全てのライフステージにスギ薬局が関わることで貢献度を高める「トータルヘルスケア戦略」を提唱した。未病から治療、在宅、終末期までをフォローする概念だ。
「目の前のことに一生懸命取り組んでいれば、道は拓ける」という杉浦社長のメッセージは、これからの時代を切り拓いていくスギ薬局の新しい戦力となる若手社員、薬剤師にも強く響いていくに違いない。
■
取材・文=菅原幸子(ドラビズon-line編集長)
撮影=井之口聡
スギ薬局の新卒採用エントリー
ドラビズon-lineでもスギ薬局のビジネス情報を掲載しています。
Comments